不動産広告で見かける「市街化調整区域」「用途地域」とは?

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カテゴリー: 不動産

マイホーム探しで不動産広告を見ていると、「市街化調整区域」とか「用途地域」といった言葉を目にすると思います。日本では都市計画法という法律によって土地の用途が決められていて、地域ごとに建てられる建物の種類や大きさに制限があるため、物件探しをする際は必ずチェックしたいところです。 そこで今回は、市街化調整区域や用途地域についてご説明します。

 

 

●都市計画法、都市計画とは? 

 

都市計画法とは、都市の健全な発展や秩序ある整備を図ることなどを目的として制定された法律で、この法律に基づいて、街づくりを行うための都市計画が決定されます。居住地域や商業地域のようなエリアをどこにどのように作るか、道路、公園、下水道などの公共施設をどう整備していくか、といったことをきちんと決めて、計画的に街づくりを進めていく必要があるからです。都市計画はその規模により、都道府県や市町村が決定します。

 

 

●都市計画区域 準都市計画区域

 

都市計画を決める際は、まず街づくりをするエリアが決められます。この街づくりを行うと決めた場所を「都市計画区域」といいます。都市計画区域に指定されると都市計画法が適用され、計画的な街づくりを進めるため、土地の利用や建物についてのルールが決められたり、規制がかけられたりします。

 

都市計画区域以外の場所には、「準都市計画区域」という区域が指定されます。都市計画区域以外の場所では都市計画法が適用されないので、そのままでは無秩序に開発されてしまうかもしれません。そこで一定の規制がかけられるよう、準都市計画区域として指定されます。例えば、高速道路のインターチェンジ付近などです。

 

 

●市街化地域 市街化調整区域

 

都市計画区域が指定されると、その中は「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けられます。この区分けのことを区域区分と呼びます。区域区分を決めることで、自然環境が守られた住みやすい街づくりができ、効率よくインフラ整備を行うことができます。

 

市街化区域というのは、すでに街になっている区域や、10年以内に計画的に市街化にしていく予定の区域で、住居や商業施設があって多くの人が行き来する賑やかな場所のイメージです。市街化区域内では道路や公園、下水道が必ず整備されます。

 

一方、市街化調整区域は、市街化が進まないように抑制する区域のことです。郊外に広がる田畑や森林など、のどかな地域をイメージすると分かりやすいと思います。都市化を抑える目的で設定されているため、原則として開発は行われず、新しい建築物の建設や増築が制限されているケースが多いです。インフラの整備が十分に整っていない場合もあります。「自治体名+市街化調整区域」と検索するとエリアを確認することができます。

 

市街化区域、市街化調整区域のいずれにも指定されていない区域は「非線引き区域」と言います。

 

 

●用途地域

 

用途地域とは、土地の用途が決められている13種類のエリアのことです。市街化区域の中で必ず定められ、住宅地、商業地、工業地に区分されています。

 

用途地域が指定されていないと、住宅地の中に工場が出来たり、高層マンションが建てられたりして、街の景観や生活環境、産業効率が悪くなってしまいます。用途地域を指定することで、住居、商業、工業など目的の似た土地利用をまとめ、それぞれにあった環境が守られ、効率的な活動が出来るようにしているのです。それぞれの用途地域の特徴を簡単にご説明します。

 

【住居系】

住宅地としての利用をメインとする地域です。住宅は建てられますが、商業施設や工場などの建築に制限がかかります。

 

・第一種低層住居専用地域
 低層住宅のための地域です。小規模なお店や事務所をかねた住宅や小中学校が建てられます。

 

・第二種低層住居専用地域
 主に低層住宅のための地域です。小中学校などの他、150㎡までの一定のお店が建てられます。

 

・第一種中高層住居専用地域
 中高層住宅のための地域です。病院、大学、500㎡までの一定のお店などが建てられます。

 

・第二種中高層住居専用地域
 主に中高層住宅のための地域です。病院、大学などのほか、1,500㎡までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられます。

 

・第一種住居地域
 住居の環境を守るための地域です。3,000m㎡までの店舗、事務所、ホテルなどが建てられます。

 

・第二種住居地域
 主に住居の環境を守るための地域です。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。

 

・準住居地域
 道路の沿道において自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護するための地域です。

 

・田園住居地域
 農地と低層住宅の調和した環境を守るための地域です。住宅の他、農産物を扱うお店や倉庫などが建てられます。

 

 

 

【商業系】

店舗や娯楽施設など商業施設の建築をメインとする地域です。大型の商業施設の他、住宅の建築にも制限がないため、マンションが多く建てられています。

 

・近隣商業地域
 まわりの住民が日用品の買物などをするための地域です。住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます。

 

・商業地域
 銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域です。住宅や小規模の工場も建てられます。

 

 

【工業系】

工場や倉庫など工業用地としての利用がメインの地域です。3種類あり、規制が厳しくなるにつれ 建てられないものが増えていきます。

 

・準工業地域
 主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域です。危険性、環境悪化が大きい工場のほかは、ほとんど建てられます。

 

・工業地域
 どんな工場でも建てられる地域です。住宅やお店は建てられますが、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

 

・工業専用地域
 工場のための地域です。どんな工場でも建てられますが、住宅、お店、学校、病院、ホテルなどは建てられません。

 

 

●物件探しをする時は区域区分や用途地域をチェックしよう

 

「他の土地よりかなり安いな」と思ったら市街化調整区域だったということがあります。市街化調整地域には制限があって簡単に新しい建築や建て替えが出来ないなど、一般的に見てデメリットになる部分が多いため価格が安く設定される場合がほとんどです。不動産広告などを見る際は、「市街化調整区域」ではないか、チェックしてみてください。

 

また用途地域によって建てられる建物に制限があるため、エリアの雰囲気や街並み、利便性が変わってきます。用途地域を見ればその周辺の環境だけでなく、将来、建つ可能性のある建物もイメージすることができます。静かな住宅街を選んだつもりが、後になって周りに店がたくさん出来てうるさくなったという事もあり得るので、物件探しをする時は、検討している場所がどの用途地域になるのかも、しっかり確認するようにしましょう。

 

 

 

気になる物件の用途地域についてご不明な点や、詳しく知りたいなどがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。市街化調整区域の物件にご興味がある方も、条件を満たせば建築や増改築が認められるケースもあります。まずはご相談ください。