土地を探す時にチェックしたい「建ぺい率」と「容積率」のこと

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カテゴリー: 不動産

マイホームを建てる土地を探す時、重要なポイントのひとつが「建ぺい率(建蔽率)」と「容積率」です。どちらも建築基準法で定められた敷地に対する建物の大きさを決まりで、マイホームを建てるには、両方の条件をクリアする必要があります。そのため単純な面積ばかり見て土地を探していると、「思っていた大きさの家が建てられない」ということもありえます。建ぺい率や容積率は物件情報に必ず記載されるので、ご自分たちでもチェックしていただけるようご説明します。

 

 

●建ぺい率とは

 

建ぺい率は「敷地面積に対する建築面積の割合」を指します。建築面積とは、建物を上から見た時に投影される床面積のことです。敷地いっぱいに家が建っていると日当たりや風通しが悪くなるだけでなく、万一火災が起きた場合の延焼も心配です。隣家と距離が近いことでプライバシーの確保も難しくなってしまいます。そうしたことを避けるため、用途地域(建築できる建物の種類、用途の制限を定めたルール)によって、30%~80%の範囲で建ぺい率が設定されています。

 

たとえば建ぺい率50%となっている場合、100㎡の土地であれば建築面積50㎡までの家が建てられるということです。「土地面積×建ぺい率(%)=建築面積の上限」。

 

一般的な2階建て住宅の場合、1階、2階どちらか大きい面積の方が建築面積となります。とはいえ、この建築面積には住宅の建物本体以外にも含まれるものがあります。ガレージやカーポートやなど「屋根と柱、または壁がある構造のもの」は建築面積に含まれる対象となります。バルコニーや庇も1m以上突き出している場合は、突き出している部分の先端から1m後退したところまでが建築面積に含まれます。これらを作る際は、建ぺい率ギリギリになることもありえるので気を付ける必要があります。

 

 

●容積率とは

 

容積率は「延床面積の敷地面積に対する割合」を指します。延床面積というのは、建物のすべての階の床面積を合計したもののことです。「土地面積×容積率(%)=家の広さ(延床面積)の上限」。

 

建ぺい率は敷地面積に対する平面的な広さを制限するものでしたが、容積率は立体的な大きさの制限です。容積率の制限がないと自由に大きな建物が建てられるので人口が増えてしまい、道路やインフラのバランスが保てなくなってしまいます。また住宅街のエリアに高い建物が建てられると、日当たりや風通しなど住環境が悪くなってしまいます。そうしたことを避けるため建ぺい率と同じく、用途地域によって50%~1300%の間で指定されています。

 

たとえば容積率100%となっている場合、100㎡の土地なら延床面積100㎡までの建物が建てられるということです。一般的な2階建て住宅を例にすると、1階、2階の床面積の合計を100㎡以内に抑える必要があるので、1階、2階を同じ広さにするなら、1階50㎡、2階50㎡の家が建てられることになります。とはいえ、床面積に含まれないものもあります。吹き抜けや玄関ポーチのほか、屋上・ウッドデッキ、一定条件を満たすバルコニーやロフト、出窓などです。延床面積に含まれない箇所を上手く取り入れることでスペースを広く使うことができます。

 

 

●守らないとどうなる?

 

土地には用途地域による制限があり、建ぺい率と容積率の組み合わせで建てられる建物の大きさが決まり、両方をクリアする必要があります。これらが守られていない建築計画は確認申請で許可が下りないので、そもそも家を建てることができませんし、確認申請を行わなかったり、許可後に図面と異なる家を建てたりすると違法建築になってしまいます。発覚すると行政から指導が入り、使用停止や解体撤去を勧告され、従わない場合は行政処分を受けることもあります。

 

また建築基準法に違反して建てられた違法建築物は、売却も難しくなります。違法建築物件には銀行の融資が下りないので、住宅ローンが使えない状況では買い手が付きにくくなりますし、そもそもリスクのある違法建築を購入しようとする人も少ないです。そのため価格も相場よりかなり安くなり、買い手もなかなか見つからないというケースが多くなります。

 

 

●土地探しでは「建ぺい率」や「容積率」も必ずチェックしよう

 

建ぺい率と容積率という決まりを知ることで、土地を選ぶ際、どのくらいの大きさの建物が建てられるか、希望の家が建てられるかを考える必要のあることをお分かりいただけたと思います。土地によって建てられる建物の大きさは変わるので、面積だけで決めてしまうと「思っていたより小さな家しか建てられない」ということになりかねません。土地を探す時は、建ぺい率や容積率も合わせてチェックするようにしましょう。

 

尚、建ぺい率や容積率には条件を満たす場合の緩和措置があり、土地の立地や建物の構造によって細かな計算が必要になります。また土地の場合は建ぺい率や容積率以外に、「日陰規制」「道路斜線規制」「絶対高さ制限」といった様々な規制が設けられていることも多くあります。希望のマイホームを建てるためにも、気になる土地が出てきた時は不動産会社に確認すると安心ですね。

 

土地探しは専門的な知識がないと難しい部分も多いので、気になることや分からないことは何でもお気軽にご相談ください。ご希望を伺った上でしっかりご説明し、納得のいく物件探しのお手伝いをさせていただきます。